はなの病気

赤文字は当院で行っている検査・治療です。

アレルギー性鼻炎

ホコリ、ダニ、花粉などにより鼻の粘膜が反応し、くしゃみ、水様性鼻水、鼻詰まりを起こす病気です。

[検査]

血液や鼻水でアレルギーに関わる好酸球を測ったり(鼻汁好酸球検査)、抗原が何かを血液検査で調べます。最近は指先に針を刺して絞り出した血液で20分ほどでアレルギーを調べることができるキット(イムノキャップラピッド)もあります。

[治療]

病院で行う治療は、鼻水の吸引ネブライザーを行い、内服薬、点鼻薬を処方します。

内服薬は、いろんな種類があります。①抗ヒスタミン薬をよく使いますが、効果の強いものは眠気が強く、症状に合わせて選択します。眠気の強い薬では車の運転に注意してください。ステロイドの合剤もありますが、効果は強いですが、眠気と長期で使うと胃腸障害などの副作用もあります。②ロイコトリエン拮抗薬は鼻詰まりに効果あり、眠気はほとんどありませんが、鼻水やくしゃみを押さえる効果が弱いです。③点鼻薬は3種類あり、ステロイド点鼻薬と抗アレルギー薬をよく使います。単独でも効果ありますが、内服と併用するとさらに効果があがります。もう1種類は血管収縮薬ですが、鼻詰まりに効果ありますが、使いすぎると効果が薄れてきます。

妊婦や授乳中の方には抗アレルギー薬は使用できません。その場合はステロイド点鼻や漢方を使うことがあります。

レーザー治療で鼻の粘膜を焼くことで鼻症状を押さえることが可能です。日帰り手術が可能ですが、鼻にかさぶたが付くためかさぶたが落ち着くまでは週1回処置が必要です。アレルギーの薬を飲まなくても良いぐらいになる方もいらっしゃいますが、効果は約1年です。

減感作療法はアレルギーの原因物質を薄い濃度から注射して徐々に濃くして体を慣らす方法です。アレルギー性鼻炎を根本から治療できます。60%くらいの人に効果がありますが、濃度が決まるまでは週1回で注射が必要でその後も数ヶ月ごとで注射が必要になります。またアレルギーによるショック(呼吸困難、血圧低下など)を起こす可能性があります。注射30分前には抗アレルギー剤を飲んで予防が可能です。最近、スギ花粉症に対して舌下免疫療法(スギ花粉エキスを口腔内に滴下し体を慣らしていく治療)も行われるようになりました。

他にも手術で下鼻甲介骨を切除し鼻の通りをよくしたり、粘膜下の鼻水を調整している神経を焼き切る方法もあります。

慢性副鼻腔炎

感染の反復やアレルギーによって副鼻腔の換気が悪くなり、副鼻腔に鼻水が貯留したり粘膜が肥厚しポリープなどができる場合もあります。

症状は鼻水、鼻詰まり、後鼻漏、頭痛などがあります。鼻ポリープ(鼻茸)があれば嗅覚障害がでる場合もあります。

[検査]

検査はファイバーなどで鼻内のポリープの有無、後鼻漏の有無などを確認します。顔面レントゲンで副鼻腔陰影があるかを確認し、さらに精査が必要な場合はCTやMRIを撮ります。

[治療]

まずは保存的治療を行います。マクロライドという抗生物質を2-3ヶ月内服し、粘液溶解剤やアレルギー合併例では抗アレルギー剤なども併用することもあります。ステロイド点鼻を使うと鼻詰まりの改善にもなります。病院では鼻水の吸引とネブライザーを行います。保存的治療で改善しない場合は手術を考慮します。

<院長コメント>

当院では局所麻酔下で内視鏡を使用して鼻茸切除術や副鼻腔を一部開放する手術も行っております(患者さんの状態で手術適応を決めております)。もし希望あればご相談ください。

鼻出血

原因がわからないものが多いですが、副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、外傷、腫瘍、肝障害、血液疾患、血圧の高い方、血液をサラサラにする薬を内服している方に多いです。

出血しやすい場所は鼻中隔粘膜(キーゼルバッハ部位)ですが、なかには鼻腔後方の動脈や嗅裂から出血する場合があります。

まずは圧迫止血です。鼻の小鼻をつまんで圧迫します。頭は下げてください。

それでも止まらない場合は病院での止血が必要です。ファイバーなどで鼻内を観察し、血管収縮薬の付いたガーゼを詰めて圧迫止血します。場合によっては止血用の吸収される綿で血を止めることもあります。止血困難な場合は電気凝固も行います。鼻の奥の出血は硬性鏡といった内視鏡を使って止血処置を行っております。

止血した日は熱い風呂は避けてください。アルコールも避けてください。数日は鼻も強くかまないでください。

嗅覚障害

原因は①慢性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、鼻中隔弯曲症などによる臭いの通る道の問題や②風邪を引いた後や薬剤性、頭部外傷による嗅粘膜細胞や神経の問題、③アルツハイマー病、パーキンソン病、脳腫瘍といった中枢の問題があります。

[検査]

①鼻内を診察し、臭いの通り道の確認、鼻ポリープの有無を確認し、②顔面レントゲンやCT、MRIで副鼻腔炎や頭蓋内病変を確認します。嗅覚検査としては、③アリナミンテスト(ニンニクの成分であるアリナミンを静脈注射して注射開始から臭い始める時間と臭いの持続時間を計ります。アリナミン注射時は血管痛がありますが、時間とともに改善します)を行います。

[治療]

投薬により副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎の治療を行います。懸垂頭位でのステロイドの点鼻は効果がありよく使用します。それでも改善がない場合や鼻ポリープや鼻中隔弯曲がひどい場合は手術を行います。嗅粘膜細胞や神経の問題の場合は漢方やビタミン剤なども使用します。中枢性の場合は原疾患の治療が必要です。

<院長コメント>

懸垂頭位でのステロイド点鼻が困難な方は週1回で当院にて注入する治療もあります。

鼻骨骨折

レントゲンやCTで診断をつけます。場合によってはエコーを使う場合もあります。

受傷して時間がたつと鼻根部が腫れて整復が難しくなりますが、受傷後2週間以内であれば局所麻酔で整復(鼻骨骨折整復術)は可能です。

手術は器械を鼻に入れて偏位した骨を元に戻します。戻した後は鼻にガーゼや人工の綿をつめたり、鼻の外側にプロテクターを置き保護します。ガーゼは約1週間後に抜きます。

整復するまではできるだけ腫れを引かせるために鼻のまわりをクーリングしてください。整復したあとは鼻出血や再度鼻が腫れます。整復して2週間近くはまだ骨が固まっていません。強い力が鼻に加わるとまた鼻骨は偏位するので注意してください。